2025/04/24 国交省/砂防工事の遠隔施工要領案策定、災害復旧以外の平時でも活用へ

【建設工業新聞 04月 24日 1面記事掲載】

国土交通省は砂防工事の発注者向けに「砂防工事における遠隔施工要領(案)」を策定した。災害復旧工事が中心だった遠隔施工を、平時でも活用できるよう検討フローなどを整理。適用可能な工種、必要な資機材や通信環境をまとめたほか、事前準備や計画立案、施工管理などで考慮すべきポイントも分かりやすく記載した。安全確保や省人化に効果を発揮する遠隔施工の普及拡大を図り、砂防工事の生産性向上につなげる。

要領案はこれまでの試行工事で培った知見を整理した。対象工種は▽除石工▽大型土のう積み工▽構造物工▽砂防堰堤工-の四つ。それぞれ概要や使用する建設機械、出来形管理のポイントなどを示した。遠隔施工の肝となる通信や映像関連の記載も充実。直接目視、有線、無線の各方式や、機材のメリットとデメリット、使い分けを説明している。

発注に当たり事前準備やオペレーターの確保、有人建設機械との混在といった注意点も盛り込んだ。具体的な日作業時間や工程表の策定、特記仕様書の記載例なども示し、発注の担当職員が使いやすいよう工夫している。要領案は3月17日付で地方整備局などに送付した。

国交省のi-Construction2・0のロードマップ(24年度策定)によると、遠隔施工分野は今後5年程度で取り組む短期目標に「砂防現場における活用拡大」を掲げている。砂防分野の遠隔施工は雲仙・普賢岳噴火時の火砕流、土石流対策工事で本格的な適用が始まり、有珠山噴火や紀伊半島豪雨、熊本地震など大規模災害を経験しながら技術開発が進んだ。

最近は地域建設会社による遠隔施工事例も出始めている。ただ施工例は多くなく、災害以外の活用は一部の直轄試行工事にとどまっているのが実情だ。

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